基本的に「当たり」というのは嬉しいものである。
当たれば玉が出る。即ち使った金額が少なからず戻ってくるのだから嬉しくないハズがない。
BIGボーナスと銘打っておきながら150枚しか出ない台もあるが、そういう台にしてもATやARTで大捲りする可能性がある。

ただ、何事も例外というものがある。
天井手前の大当たり。
所謂天井ストッパーだ。

ご存知の通り大概のパチスロには天井機能があり、到達すれば大当たりが保障されていることが多い。
新基準機は天井到達でAT当選のみ、ノーマルタイプは天井非搭載だったりと全ての台が該当する訳ではないが旧基準機に関しては連チャン保障や特化ゾーンスタートと恩恵が大きい。

宵越しの天井狙い、設定に期待出来ない、ハマり過ぎて後戻りが出来ないという具合に天井狙いをするシチュエーションは幾つかあるが、共通して言える事は天井手前で当たった時素直に喜べないという事だ。

今までウンともスンとも言わなかった台のモード移行が1000Gを超えると急に激しくなる、レア役が頻発する、挙句天井100G手前で当たる。

台は派手な音と共に祝福してくれるが、打ち手としては天井までに少なくとも1000G近く回している事が大半なので絶望しか残らない。

恩恵がデカイ機種ほど天井未到達の精神的ダメージは大きいが、ハイリターンを求めてリスクを負うのは立ち回りとしては正解なのだろう。

しかし、個人的には天井狙いという行為が後ろ向きなものに思えてしまう。

パチスロの根本は「当ててメダルを出す」事にある。
当たりを願うならまだしも、当たらない事を願いながら数百回以上レバーを叩くというのは根本的な部分から間違っているのではなかろうか?

この点の是非に関しては期待値というものをどう考えるかで変わって来るだろう。

アナザーゴッドハーデスを例に挙げてみよう。

ハーデスは800Gハマりの時点で期待値はプラスになると言われている。
実践動画でも「800を超えたのでもう天井まで回すしかない」という発言を耳にする事もある。

だが、ハーデスの天井に届かせるにはここから更に4万は必要になる。
期待値計算というのは途中で当たった場合も含めての計算だろうが、それでも4万使う間ひたすら当たらない事を願いながら打つというのは自分には耐えられない。

当たらない事を願うというのは自分のレバーを否定する行為だと思っているからだ。

筆者も天井を狙う事はある。
ただ、打ってて楽しい台で気付いたら引き返せなくなった場合のみの話である。

期待値がプラスだからという理由で天井狙いをした事は記憶の中では思い当たらない。

期待値を追う稼働をする打ち手、所謂ガチ勢の方々は「レバーを否定」という考えには異を唱えるかもしれない。
彼らは期待値計算と台の知識、洞察力を駆使して長期的視野でのプラス収支を目指しているのだから。

期待値を追う立ち回りを否定するつもりは無い。
立ち回り方なんて人それぞれだし、結果的に勝ってるなら正解なのだろう。

立ち回り方同様、価値観も人それぞれだ。
天井を期待値の塊と思う人もいれば筆者の様にボーッとしてたら後戻り出来ず、止むを得ず追いかけるという人もいるだろう。

ボーッとしてたら3時間で6万が消える。

パチスロコーナーに限り、わたしはマジシャンよりも鮮やかにお札を消す事が出来ます。