アイデンティティ、定義は色々あるが噛み砕いて言ってしまえば「個性」を表す言葉だ。

筆者はアイデンティティの無い人間は存在しないと思ってる。
誰にしたって何らか他人より秀でているものはあるものだ。

これに関してはパチンコ・パチスロにも言えることで、パチンコなら「ルパンは連チャン性能が高い」とか「牙狼は一撃のチャンス」。パチスロなら「ハナビで固くいく」とか「凱旋で大勝負」と言った具合にそれぞれの機種にアイデンティティが存在する。

凱旋を打つ事が日常となっている筆者から見れば「大勝負」というイメージは無いのだが、世間一般のイメージではやはり「大勝負」なのだろう。

年間膨大な量の機種が導入されていく昨今、機種固有のアイデンティティを打ち手に認識されるというのは稀有な事だ。
大概は認識される前に撤去されてしまう。

しかし、折角認識されたアイデンティティを自らの手で破壊してしまう台という事もある。
得てしてヒット機種もしくはビッグタイトルの続編がそれに当てはまる。

筆者が近年で最も「ぶっ壊した」という印象を受けたのはパチンコのルパンだ。
それ以前のルパンが確変機だったのに対して筐体のど真ん中にステアリングを配置した前作はマックスST 機となった。
ルパンの魅力は確変中にどこまでも続きそうなイケイケ感だと思っていたのだがST機になったことで電サポ回数という終着点が見えてしまうのだ。
イケイケ感よりもドキドキ感が強くなってしまう。

パチンコにドキドキ感は大事だし、ST機の醍醐味だとも思うが結果として「ルパンっぽく無くなった」のだ。
打ち手が全員同じ理由かは定かではないが、ST機になることでルパンっぽさが無くなったことが前作が短いスパンで稼働の落ちた理由の一因ではないかと思っている。

前作と全く同じならば新作を作る意味がないし、既成概念に囚われていては進歩しないというのは重々承知だが、崩してはいけないアイデンティティというのは確かに存在するのだろう。
パチンコ・パチスロ共に今後はヒット機種の後継機が新基準機として続々とリリースされるだろう。
新内規に沿ってゲーム性を大きく変えてくる事は想像に難くないが、最低限のアイデンティティは守って頂きたい。
むしろ新内規が原因でアイデンティティを維持出来ないというのならリリースしないで頂きたい。

ポール・スタンレーやカーク・ハメットがギターをぶっ壊さないライブでファンは熱狂出来るだろうか?
獲得経験値が1のはぐれメタルを少年少女は追い回すだろうか?
F1モナコグランプリで全車が制限速度を守るレースが面白いだろうか?
千円50G回るGODシリーズにドキドキ出来るだろうか?
唇がカッサカサの石原さとみにみんながキュンキュンするだろうか?

F1もミュージシャンもパチスロも、人気が出ると言うことはそのアイデンティティが周囲から愛されてるということだ。

内規が変わろうとどうなろうと、愛せる台を作ってくれる事を切に願います。

追伸
石原さとみなら唇カッサカサでも筆者は愛せます。