カジノの花形、スロットマシン。

ズラッと並んだジャックポットマシンで
7が揃うとけたたましいベル音とともに
ジャラジャラとあふれ出す輝くコイン。

一晩で一攫千金を手にできる
夢に満ちた魔法の玉手箱。

ま、実際は金を吸い尽くす吸引貯金箱だけどな!
二度と取り出せない一方通行式の。

てなワケでカジノに並ぶスロットマシン。

これとみなさんが打っているパチスロ、
回胴式遊技機との違いをいくつかご紹介します。

●ボタン押すだけ

これは知ってる人も多いはず。

ゲームセンターのメダルコーナーの
スロットをイメージしてもらってOKです。

ほとんどのスロットマシンが
BET=STARTボタンを1回押すだけで
レバーも叩かないし、リールを止めるボタンも押しません。

一度始まれば自動的に止まるシンボルを見守るだけ。

パチスロを打つ人たちにとっては
何て味気ない自力感の無い遊技だと
思われるかもしれません。

でも、海外のカジノスロットを楽しむ人たちにとっては
何てめんどくさいゲームなんだこれは!
という感想が一般的です。

ただ、極めてたまーに
日本のパチスロの緻密さとクォリティの高さに気付いてしまって
ずっぽりハマってしまう外人さんもいますけどねw

●主流はビデオスロット

ちゃんとした統計は調べてませんが、
どちらかと言えば実際のリールが回るものより、
ビデオ画面で擬似的に見せているスロット機が多いです。

ビデオスロット、最近のパチスロで言えば
カイジ、プリズムナナとか。ななみさんとかボトムズとか
新しい2027もそうだったかな。

ただパチスロの場合は、あくまで演出であって
ドラムが付いてるわけで。
言ってしまえばアルゼのバズーカ筐体、
バジリスク2や絆、GODシリーズだって似たようなものです。

それに対してカジノのビデオスロットは
純粋にビデオ画面だけで完結しています。

それじゃ客に対してどうにでも見せ方インチキできるのでは?
と思われるかもしれないけど、
リールストリップ、パチスロで言えばリール配列ね。
ビデオスロットでもリールストリップはしっかりと決めてます。

ただし、叩いたフラグ次第で
“WILD”というオールマイティ図柄が出るとか
そういうフィーチャーは色々ありますが。

大まかな傾向として
IGT、Williams、Aristcratはビデオがほとんど、
Bally、Konamiはリールも出してる、
ARUZEはリールもかなり出してる、
といった感じでしょうか。

●1ゲーム完結

パチスロにはゾーン、天井、高確率といった
次のゲーム以降にも影響を及ぼす要素がいっぱいあります。

これらは全て状態やフラグの持越しが
パチスロで許されているからこそなんです。

今の一般的なパチスロは
小役フラグは該当ゲームのみで消滅。
一方、ボーナスフラグは一度成立したら
揃えるまでそのフラグは消滅しません。

考えてみたら、
揃え損なったらアウトのジャグラーとか
痺れますなw

ともかく
「状態やフラグの持ち越し」といった概念がありますが、
これがカジノゲームでは基本的に禁じられています。

理由は技術介入や人為的な行為で
特定のプレイヤーが利益を得ることをNGとしているから。

パチスロではハイエナが当たり前のようにありますが、
これはかなり特殊な文化です。
それに限らず技術介入とかも、カジノではありえないんです。

ただし、それだけでは面白く無いだろうということで
「ボーナスゲーム」の存在は認められています。

例えばカジノスロットの主流として、
その1ゲームでボーナス図柄が3つ以上止まるなど条件を満たすと、
図柄当選しやすいFREE GAME(BET無しで遊べるゲーム)を獲得できます。

一定数のFREE GAMEをプレイできるのがBONUS GAMEで、
得てしてBASE GAME(通常プレイ)ではメダルは減り、
BONUS GAMEで増やせる、というパチスロと似たシステムです。

ただ考え方としては、そのBONUS GAMEも
BONUS GAMEを揃えた1ゲームでの間での出来事、
という扱いになってます。

ま、何事もルールがあって
そのルールに対してあれやこれや考えるのが作り手なわけです。

●メダルはジャラジャラ出てきません。

テーブルゲームではチップが扱われていますが、
スロットマシンでは仮想現金となるメダルは使われません。

全て「チケット」「バウチャー」と呼ばれる
金券レシートが扱われます。

マシンは紙幣かチケットを受け入れ、
払い出しはチケットで行われます。

そしてチケットは自動換金機かカウンターで現金化します。

今でも場所によっては
コインオペレーションが行われているカジノもあるかもしれませんが、
今ではAUDITと呼ばれる内部的な管理メニューに名残こそあれ、
ほとんどその形態は姿を見せなくなりました。

まあ極端なことを言えば、
100万ドルのチケット1枚、ってなこともあるわけで。
パチスロでも交換前のレシートなら同じですね。
当たり馬券・舟券・車券もそうかな。

ただしスロットマシンの場合は
パチスロと違って1ゲーム最高払い出し15枚、とかありません。
1ゲームでギャンブルが成立する代わりに
その上限が細かく規定されていません。

たった1ゲームで天文学的な確率を潜り抜け
100万ドルのProgressive JACKPOT当選とかあるわけでして。

ただそれを流石にたった1枚の
ペラペラした紙でやり取りするってどうよ?
ってなわけで
一定額以上の当たりは
ATTNADANT PAY(係員により払い出し)になります。

もし海外カジノで遊んでいて当選した場合は、
当選時に税金処理などの書類を書く必要も出てきたりします。

●機械割100%越えはありません

前にも書きましたが、
スロットマシンに設定されているRTP(Return To Player)は
高くて90%半ばです。

ラスベガスストリップやマカオのリゾートホテル内など
観光客向けのカジノではもっと低く設定されているでしょう。

1ゲーム完結でハイエナ要素なし、
RTPは90%以下。

つまりスロットマシンは
打てば打つほど負けるようにできています。

ただし1ゲーム完結だからこそ、
完全確率計算の中で生まれる一攫千金も存在するわけです。

そして、勝ちにこだわるスロッターのみなさんにとっては
さらにトドメの情報が。

●カジノは新規導入時以外、設定を変えられません

パチスロは設定を追うのが醍醐味。
そして日々店が仕込んでいく高設定を
いかに探しだして打ち込むかが勝負なわけですが。

一方、カジノのスロットマシンの場合は
新規導入時に決めたRTPを基本的に変更できません。

導入時には管轄する役所の認証が必要で、
その中には設定したRTP情報も届け出る必要があります。
(変更可能かやその方法は各国・州のレギュレーション次第です)

つまり一度台がRTP90%で設置されたら、
その後はずっと90%なのです。

なぜ? というとカジノ経営は
本当に金の流れがガラス張りである必要があり
国・州側もカジノのRTPを把握した上で
税金を徴収しているからです。

ちなみに各カジノのRTP情報については
専門誌などに一般公開されています。

●「ギャンブル」か「遊戯」か「遊技」か

日本のホールと比べると、
カジノは圧倒的に業態がクリアです。
そもそも法律でギャンンブルとして認められているわけですから。

日本の三店方式とはまるで状況が異なります。
警視庁の偉い人が国会に呼ばれて
「パチンコの換金など存在しません」
と堂々と言って議員から失笑を買うとかあり得ない訳です。

そして、パチスロ・パチンコは
技術介入や立ち回りが有効な時点で
「ギャンブル」ではありません。
ギャンブルを
「純粋な運を試して金を賭ける」という意味で考えた場合にね。

今、日本では
カジノを認める認めないなんて話が繰り広げられていますが、
「パチスロ」と「カジノのスロットマシン」は
全く別物と考えてください。

少なくとも投資・回収・余剰・欠損など
勝利を前提としたものではないということ。

ただその上で、一発当てるとデカい
大味なカジノの世界や文化を体験してみるのは悪くないと思います。

90%、90%って言ってますが、
客全員が均等に90%負けて変えるわけでなく
ある客がオケラで帰り、ある客がボロ儲けして
帰ることが当たり前なわけで。

それに比べればパチンコ・パチスロって
下見・情報収集・実戦時間、
どれをとっても勤勉さが要求される遊技です。

「遊戯」じゃなくて「遊技」ですよね。
そして「ギャンブル」でなくまさに「遊技」かと。

何かとパチで稼ぐとか
遊んで金儲けのように悪く言われますが、
実際は定時で働くサラリーマンより
はるかに働いてる。
それも色々なリスクを背負ってね。

それと比べれば、
カジノはもう純粋な遊び、ギャンブルになります。
そこら辺さえ捉え間違えなければ
将来、日本にカジノが設置されても
打ち手の皆さんが選択や立ち回りを間違えることは無いでしょう。

●ニュースとかで聞く「インバウンド」って?

むしろね、自分は今別のことを考えてます。

カジノができることで
海外のギャンブル好き観光客が
日本に来ることは当然増える。

それをパチスロ・パチンコにも取り込めないかと。
当たり前のように外人さんがホールに出入りする。

GODシリーズとかmathは案外
カジノスロットに近いのではないかと。

※math
mathmatics(数学)の意味から。
日本のパチスロで言う「出玉設計」で
例えば同じRTP100%だとしても
どういう仕様でどういう出玉の波を描くか
しっかりとした確率計算された仕組み。

インバウンド対策(ここでは訪日海外観光客の意味)として
バイリンガルの店員や外国人向けカウンターを
用意しているホールも出始めています。

最近、中国人観光客の「爆買い」が有名ですよね。
あの資本力がパチ業界に向いたら?
中国人の方々って、民族性としてギャンブル好きが多いんです。

マカオでは
今でこそ腐敗防止キャンペーンを
中国政府が展開したことによりVIP客が減ってますが、
ラスベガスを追い抜いた原動力は
まぎれもない中国人観光客のおかげです。

日本のパチスロは
ギャンブル機としてはあまりに複雑になりすぎた
まさにガラパゴス規格です。

なのでここら辺を三店方式と合わせて分かりやすくできれば
インバウンド取り入れも現実的ではないかと。

東京オリンピックやその後に
日本にカジノが設置されるか、
そしてホールに外国人も来るようになるか。

果たしてその風景が
これまで日本のパチスロを楽しんできた自分達にとって
望むべき姿なのかは分かりませんが、
右肩下がりのこの業界の支えになる可能性を
最初から排除してはいけないと考えています。